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研究概要 : 情報経済とは?インセンティブに関するメカニズム設計理論を構築し,オークションをはじめとする様々な問題の解決を図ることが,この研究プロジェクトの目的です. インターネットが持つ分散,自発的参加という特長により,我々は多くの情報を得ることが可能になりました. しかし,それは弊害ももたらします.例えば,インターネットオークションでは,詐欺行為に関する報道も頻繁に耳にします. オークションサイトの運営者が,詐欺行為をやめろといっても,他者の行動を直接制御できるわけではありません. そこで,オークションのルールを工夫して,詐欺行為を働けば返って損をする,つまり,「正直が最良の策」となる仕組み(メカニズム)を作れれば,人は自発的に詐欺行為を働かなくなります. では,適切なインセンティブを与える(人をうまく動機付けられる)メカニズムはどうすれば設計できるのか,が問題になります. このメカニズム設計(制度設計)の問題は,計算機科学と経済学(ゲーム理論)の境界領域に位置します. 計算機科学の立場からは,オークションの問題だけでなく,P2Pネットワークにおけるただ乗りの問題など,ゲーム理論的な視点の導入が不可欠となる問題が多く現れています. 一方,経済学の立場からは,米国での周波数帯域オークションなどで,計算機の利用を前提とした新たなメカニズム設計が始まっています. このプロジェクトでは,計算機科学と経済学の双方を学んで,新たなメカニズムを設計し,社会を変えていきたいという方の参加を待っています. 研究内容オークションオークションは財(商品)を効率的に割り当てる方法としてマルチエージェント研究の分野で広く研究されています. メカニズム設計という視点からみたときの主要な問題は売り手と買い手の間の情報の非対称性です. すなわち,効率的な割当てを実現するために,売り手は買い手の財に対する評価値をいかに引き出すかが問題となります. さて,インターネットオークションやエージェントが媒介する電子商取引には,不確実性の問題が含まれており,それが効率的な割当ての実現をさらに困難にします. 我々は,これまでに,入札者の名義の同一性に関する不確かさや,財の品質に関する不確かさ,動的環境における財の価値の不確かさの問題を扱ってきました. 例えば,テニスコートの利用権をオークションで販売する場合を考えましょう. テニスコートの利用権の価値は,天候が晴れの場合と雨の場合で異なるでしょう. しかし,事前に利用当日の天候を正確に知ることは誰にとっても困難です. このような状況を扱う場合の方法の一つは,当日の朝に天気が判明すればオークションを行って,再割当てを行うことです. しかし,再割当ては様々な不効用を生じさせます. また,このような単純な再割当てを行う場合,均衡戦略が存在しなくなります. 均衡戦略が存在しなければ,効率的な割当てが実現できるかどうか予測できなくなります. この問題を解決するため,我々は,入札者に財の利用から得られる効用に加えて,再割当てによって生じる費用を申告させるメカニズムを提案しました. 提案メカニズムは,入札者にとって真実申告が均衡となり(「正直は最良の策」),期待値の上で社会的に効率的な割当てが達成できることを証明しました. マッチング我々がこれから取り組もうとしている問題は人と人,人とコンテンツ・サービスのマッチングの問題です. 近年,Wikipediaプロジェクトなど利用者参加型のコンテンツ生成が注目を集めています. しかし,医療や教育現場での使用を目的とした,より信頼性の高いコンテンツ作成を考えると,知財の問題に直面します. 例えば,これは大学で作成したコンテンツなので,非営利利用しか認めないといった様々な制約が存在する場合があり,作成者と利用者がうまくインタラクションしながら,コンテンツの質を高めていくということが難しくなります. また,共同で何かしらの作業に当たる場合,人と人のマッチングも問題になります. 学習や成長といった要因を含めて考えると誰と誰が組むと効率が上がるのかという人の組み合わせ価値を適切に評価することが難しくなります. これは,今後の労働市場のあり方を考えることにつながります. これらの問題は,これまで市場を対象に研究をされてきたメカニズム設計理論をコミュニティ内での活動が扱えるように,どう拡張していくのかと言い換えることができます. 「管理」から「協創」に視点を変換して,知財やインセンティブの取り扱いに関する基礎理論を確立し,それを基に,コンテンツの生産,利用,再生産という望ましい循環が実現するようなマッチング方式を設計し,ネットワーク社会での更なる協創を実現したいと考えています. メンバー
松原 繁夫 (准教授)
江 歓 (D3) Andrew William Vargo(D2) 境 良太(M3) 王 美楽(M2) 鍵福 竜也(M2) 斎藤 陽介(M1) 海津 研(B5) 湯月 亮平(B4), yuduki 水島 拓也(B4), mizushima 主な研究成果
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