「情報と社会」は,高等学校の教職免許「情報」を得るために必要な科目である.
本講義では,情報技術と社会の接点について解説する. 講義は4部に分かれている.
第1部では情報ネットワークのコミュニケーションが可能とする電子的な組織(チーム,マーケット,コミュニティ)の形成を,
第2部では情報コンテンツ(データ,WEB情報,映像など)の社会的共有を講義する.
第3部では第1部,第2部を踏まえて,情報メディアが今後の社会変革に与える影響を解説する.
さらに,第4部では情報技術の発展と社会システムの変革の相互作用について解説する.
1. 情報ネットワークと社会
情報学研究科 教授 石田 亨
情報ネットワークの現状を紹介し,情報ネットワークがどのようなインタラクションを可能とするかを講義する.
- 協調: 電子的なチームは地理的に離れた人々の共同作業を可能とし,世界規模の仮想企業を形成する.
グループウェア,ワークフロー,オープンソースなどの概念と,メディアとの関係を述べる.
- 競争: 電子的なマーケットは世界規模の競争市場を生み出し,ビジネスの仕組みを根底から変えていく.
電子オークションを題材に,新しいメカニズムデザインの可能性を述べる.
- 共生: 電子的なコミュニティは自律的で緩やかな連携を生み出し,世界の調整機構の主役となりつつある.
デジタルデバイドや社会関係資産(ソーシャルキャピタル),コミュニティネットワーク,デジタルシティなどの動きを述べる.
2. 情報コンテンツと社会
情報学研究科 教授 田中克己
電子化された情報コンテンツをどのように収集・蓄積して共有し,この中から必要な情報をいかにして検索・流通させるかについて講述する.
- 情報の中身である「デジタルコンテンツ」とは何かについて述べる. 特に,文字,画像,コンピュータグラフィクス,ビデオ動画像などのデジタルコンテンツの表現方法や,これを様々な用途で活用するために必要となるコンテンツの構造化・組織化の方法についても述べる.
- 電子化され世界中のコンピュータに分散して蓄積されるデジタルコンテンツを,必要に応じて必要な部分のみを効率よく取り出す,いわゆる,コンテンツの検索方法について述べる.コンテンツの検索方法に関連して,データベースシステムやWeb情報検索システムのおおまかな仕組みについて述べる.
- デジタルコンテンツの知的財産権や流通方式は,インターネットの普及やインターネットと放送の融合時代を迎えて今後ますます重要となる.ここでは,デジタルコンテンツに関する著作権や特許の取り扱いについて講述する.
3. 情報メディアと社会
学術情報メディアセンター 教授 美濃導彦
人間同士のコミュニケーションを支援する情報メディアが社会にどのような影響を与え,社会をどのように変えていく可能性があるのか,という問題を考察する.
- 情報メディアの概要: 人間同士のコミュニケーションが,技術的にどのように支援されてきたかを振り返り,技術者が考える情報メディアの構造を明確にする.
- 教育の情報化: 情報メディア技術を用いた,教育の現状とその効果,今後の発展方向について考える.
- 情報技術による生活支援: 家庭の情報化について,現状・効果・今後の発展方向について考える.
4. 情報技術と社会システム
情報学研究科 教授 吉川正俊
情報の基盤技術をいくつか紹介し,その発展と社会システムの変革が相互にどのように関連しているかを考察する.
- 情報のデジタル化の原理を説明し,デジタル情報をめぐるコンテンツホルダ,メーカ,コンテンツプロバイダ,政府の間の関係について講述する.
- デジタル情報が改竄されておらず完全であることを証明するための基盤技術について説明し,その利用を保証する制度や社会システムでの応用について講述する.
- 政府など公共体の情報システムの要件について述べ,情報システムのオープン化について考察する.
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